コラム
公開 2020.08.20 更新 2024.02.24

夫源病・妻源病とは?~離婚原因になるのかを弁護士が解説~

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最近「夫源病(ふげんびょう)」という言葉を耳にする機会が増えており、聞いたことのある方もいらっしゃるでしょう。
夫源病とは「夫が近くにいると具合が悪くなる」症状です。正式な「病気」ではありませんが、医師が多くの患者にみられることに気づき名付けました。
反対に「妻が近くにいると具合が悪くなる」「妻源病(さいげんびょう)」もあるといわれています。
「夫源病」や「妻源病」になったとき、離婚は可能なのでしょうか?
今回は、夫源病や妻源病の典型的な症状や配偶者を夫源病・妻源病にしてしまいやすい人の行動パターンなどをご紹介し、夫源病が離婚原因になるか考えてみましょう。

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1.夫源病とは

夫源病とは、夫が近くにいるときに妻に現れるとされるさまざまな症状です。
日中、家などにおいて一人で過ごしているときには何の症状もないのに、夫が帰宅したときや休日夫が家にいるときに以下のような症状が現れます。

  • ・頭痛
  • ・動悸、息切れ
  • ・腹痛
  • ・めまい
  • ・食欲不振
  • ・不眠
  • ・不安になる
  • ・憂うつな気分になる

夫源病は、医学的な診断名ではありません。
医師であった大阪大学人間科学研究科未来共創センターの石蔵文信氏が患者に向き合う中で「夫が帰宅すると具合が悪くなる女性」が多いことに気づき、つけた名称です。
病気ではないものの、ドクターが患者をみるなかで気づいた現象であり、実際に夫源病に苦しむ女性はいるものと考えられます。

特に夫源病の症状が出やすいとされるのは、中高年の夫婦です。
50代~60代にかけて夫が更年期にさしかかり、体力が低下して以前のように身体を動かせなくなったり仕事でストレスを抱えたりして、家庭内で身勝手な行動をとり始めるケースがあります。
中には女性関係で遊び始めたり、自分のためにだけ散財して、家族には一切お金を渡さなかったりする人もいます。
これにより、夫源病となって耐えられなくなった妻が、夫の定年退職と同時に離婚を突きつける事例もあるのです。

2.妻源病について

夫が近くにいると妻に症状が現れるのが「夫源病」ですが、反対に「妻源病」はあるのでしょうか?
こちらも同じようにテレビなどで取り上げられています。
ただし、妻源病も正式な医学的な病気ではなく、あくまで一般的な呼称です。

妻源病になると、夫は妻が近くにいるときに具合が悪くなり、以下のような症状が出るとされます。

  • ・めまい
  • ・動悸、息切れ
  • ・頭痛
  • ・不眠
  • ・性欲減退
  • ・うつ状態

3.配偶者を夫源病にしやすい夫のパターン

妻を夫源病にしてしまいやすい夫には、以下のような特徴があると考えられます。

  • ・妻に暴言を浴びせる
  • ・家事育児に非協力的、理解がない
  • ・お金に細かい、生活費を渡さない
  • ・自分のためにだけ散在する
  • ・妻を下に見る、支配しようとする
  • ・妻を束縛する

妻がきまじめな性格で、ストレスを発散するのが苦手な場合や周囲に相談できる環境がない場合、妻に経済力がない場合などは特に、夫源病の症状が悪化しやすい傾向があると考えられます。

4.配偶者を妻源病にしやすい妻のパターン

夫を妻源病にしてしまいやすい妻には、以下のような特徴があると考えられます。

  • ・常に自分が正しいと考えている
  • ・子どもに夫の悪口を吹き込む
  • ・常に夫の行動を監視する
  • ・友人や親戚の夫と比較して自分の夫を貶める
  • ・夫の収入が少ないと文句を言う
  • ・問題が起きたらすべて夫のせいにして責める

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5.夫源病、妻源病で離婚できるのか

では夫源病や妻源病になったとき、離婚できるのでしょうか?

5-1.協議離婚、調停離婚なら可能

日本で離婚する方法は、大きく分けて以下の3つです。

協議離婚

夫婦で話し合いをして離婚に合意し、離婚届を提出して離婚を成立させる方法です。

調停離婚

家庭裁判所の「離婚調停」を利用して夫婦が話し合い、離婚を成立させる方法です。調停委員に間に入ってもらい離婚の条件などを取り決め、合意できたら調停離婚が成立します。

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裁判離婚

離婚訴訟を起こして裁判所に離婚を認めてもらう離婚方法です。
「法律上の離婚理由」がないと、判決で離婚を認めてもらうことはできません。

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上記のうち「協議離婚」や「調停離婚」であれば離婚理由はどのようなものであっても問題はなく、「夫源病」や「妻源病」が原因でも離婚ができます。
ただし協議離婚や調停離婚では「夫婦の双方が離婚に納得していること」が必要条件となります。
夫源病の妻や妻源病の夫が「離婚したい」と希望しても、相手が合意しなければ離婚は成立しません。

5-2.離婚訴訟では法律上の離婚原因にはならないことも多い

夫源病や妻源病は「法律上の離婚原因」となって訴訟で離婚を認めてもらえるのでしょうか?
訴訟で離婚が認められるのに必要な「法律上の離婚原因」は以下の5つです。

  • ・不貞
  • ・悪意の遺棄
  • ・3年以上の生死不明
  • ・回復しがたい精神病
  • ・その他婚姻関係を継続し難い重大な事由

「配偶者が近くにいると具合が悪くなる」という「夫源病」や「妻源病」は、基本的にはこれらに当てはまるとは言えません。

6.夫源病、妻源病でも裁判で離婚できるケース

以下のような状況であれば、夫源病や妻源病が理由でも法律上の離婚原因が認められる可能性があります。

6-1.夫や妻が不倫している

配偶者の「不貞」は法律上の離婚理由になります。
夫や妻が別の異性と不倫して「肉体関係」をもっていたら、不貞を理由に離婚が認められます。

6-2.夫や妻が生活費を渡さず、生活を支えない

専業主婦なのに夫が生活費を渡さず、生活の面倒を見ないような場合には「悪意の遺棄」が成立して法律上の離婚原因が認められる可能性があります。

6-3.夫や妻から暴力を振るわれている

暴力は相手の人格を否定する違法行為であり、夫婦関係を破綻させるものです。
相手からDVを受けている場合には離婚原因として認められます。

6-4.夫や妻からのモラハラ

相手から常に暴言を吐かれる、異常なまでの束縛を受ける、蔑まれるなどのモラハラのケースでも「婚姻関係を継続し難い重大な事由」が認められ、法律上の離婚原因となりえます。

6-5.長期間の別居が継続している

夫源病、妻源病が理由で夫婦仲が悪化し別居して長期間が経過していれば、「婚姻関係を継続し難い重大な事由」が認められて裁判離婚できる可能性があります。

6-6.夫婦仲が極度に悪化してお互いに修復する意思がない

夫源病、妻源病が原因で夫婦仲が悪化しほとんどコミュニケーションもとっておらず、お互いに夫婦としてやり直す意思を失っていたら離婚が認められる可能性があります。

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7.夫源病、妻源病の方が有利な条件で離婚するために

夫源病・妻源病を理由に離婚するのは、相手が離婚を拒絶する可能性が高く簡単ではありません。
また、中高年の夫婦の場合には財産分与も高額になるでしょうし、子どもの親権問題も起こるケースがあります。

自分一人で相手と交渉すると不利になる可能性が高くなるので、行動を起こす前に弁護士に相談するようおすすめします。
相手が離婚を拒絶していても、弁護士が代理で交渉をすれば離婚を了承してもらい、協議離婚ができるケースは少なくありません。

また弁護士から法的観点を交えたアドバイスを受けて離婚交渉を進めると、一人で対応するより財産分与や慰謝料、親権などの離婚条件において有利に進められます。
離婚調停でも弁護士がついている方が有利に進めやすいものです。

Authense法律事務所では、離婚に関する複雑な手続きや、多様な離婚トラブルに対応すべく、さまざまなニーズに対応する料金プランをご用意しております。
夫源病や妻源病に悩む方からのご相談もお受けしていますので、お困りの方はぜひ一度、お気軽にご相談ください。

Authense法律事務所が選ばれる理由

Authense法律事務所では、離婚問題について、豊富な経験と実績を有する弁護士らで構成する離婚専任チームを設けています。
これまでに蓄積した専門的知見を活用しながら、交渉のプロである弁護士が、ご相談者様の代理人として相手との交渉を進めます。
女性弁護士が数多く在籍しており、面談予約時に「弁護士性別」をご希望いただくことも可能です。

弁護士らで構成する離婚専任チーム

離婚問題を弁護士にご依頼いただくことには、さまざまなメリットがあります。
感情的になりがちな相手方との交渉を弁護士に任せることで、精神的なストレスから解放されますし、日常生活への影響も最小限に留められます。
相手方に有利な条件での示談や和解を要求された場合でも、弁護士に依頼することによって、過去の判例などを踏まえた対等な交渉ができます。
また、問題終結後に弁護士を通して合意書を作成しておけば、和解成立後に相手方から再び慰謝料を請求されたり、不貞行為の内容をSNSに投稿されたりといった事後的なトラブルを未然に防止することも可能になります。

私たちは、調停や裁判の勝ち負けだけではなく、離婚後の新生活も見据えてご相談者様に寄り添い、一緒にゴールに向けて歩みます。
どうぞお気軽にご相談ください。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
京都大学総合人間学部卒業、立教大学大学院法務研究科修了。一般民事(主に離婚事件)に関する解決実績を数多く有する。また、企業法務についても幅広い業務実績を持つ。
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