夫婦で子どもの教育方針が異なると大きな溝に発展し、ときには「離婚」を真剣に考えてしまうケースも少なくありません。
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1.子どもの教育方針が異なり離婚できるケース
子どもの教育方針が違っても、多少の相違であればお互いが譲り合い話し合うことで解決できます。しかし相手があまりに横暴であったり極端な考えを押しつけてきたり、子どもが泣いているのに無理矢理長時間勉強させたりしていると「この人と一緒にいて良いのだろうか?」と不安を抱えてしまうものです。
そんなとき、離婚ができるのは以下のようなケースです。
1-1.協議離婚なら可能
子どもの教育方針が異なるとき、夫婦で話し合って合意すれば協議離婚できます。協議離婚とは、夫婦が自分たちで話し合い「離婚」に合意して役所に離婚届を提出する離婚方法です。離婚届には離婚理由を書く必要がなく、どのような理由でも双方が「離婚」に納得していたら離婚が成立します。
ただし協議離婚でも、必ず未成年の子どもの親権者を決めなければなりません。婚姻中は両親に親権が認められますが、離婚後はどちらか一方の親にしか親権が認められないからです。
夫婦間で子どもの教育方針について対立している場合、通常は夫婦のどちらも親権を強く主張するでしょう。そうなれば、協議離婚はできません。
1-2.調停離婚も可能
協議離婚で解決できない場合、家庭裁判所で離婚調停を申し立てることとなります。
離婚調停でも、子どもの教育方針が異なるという理由での離婚が可能です。調停離婚は家庭裁判所を介しますが、基本的には「夫婦が話し合って離婚する」手続きだからです。
お互いが納得していれば、離婚理由は問題になりません。
ただし調停離婚でも必ず子どもの親権者を決めなければなりません。夫婦間で子どもの教育方針について強く対立しており、お互いが親権を希望する状態では調停が成立しないので離婚できません。
1-3.裁判で離婚できるケース
離婚調停でも合意できず調停が不成立となってしまった場合、どうしても離婚したければ家庭裁判所で「離婚訴訟」を起こす必要があります。
離婚訴訟は話し合いではなく、裁判所に判決で「離婚」を認めてもらう手続きです。
裁判所が離婚判決を書くのは、以下の5種類の離婚原因のうち1つ以上がある場合です。
- ・不貞
- ・悪意の遺棄
- ・3年以上の生死不明
- ・回復しがたい精神病
- ・その他婚姻関係を継続し難い重大な事由
「子どもの教育方針が違う」だけでは上記の5つに入らないので、基本的に訴訟での離婚は難しいです。
訴訟で離婚が認められる可能性があるのは、以下のような場合です。
・相手が別の異性と不倫している
単に「子どもの教育方針が合わない」というだけではなく、夫婦仲が悪化したために相手が別の女性(男性)と不倫して肉体関係をもっているケースです。
・生活費を入れてくれない
子どもの教育方針が合わないため、嫌がらせや「信用できない」と言われたりしてお金を入れてくれないケースです。
・暴力を振るわれている
子どもの教育方針で話が合わず、相手が激昂して暴力を振るうケースです。
・執拗な侮辱や束縛を受けるなど、人権を無視した行動をとられている
子どもの教育方針が合わないことから、相手が子どもの前で侮辱的な言動を繰り返したり、自分の行った通りに行動するように押しつけてきたりして人権を無視したモラハラ行動をとるケースです。
・長期間にわたり別居が続いている
子どもの教育方針で対立したために同居できなくなり、おおむね5年以上の長期にわたって別居状態が継続しているなら裁判で離婚できる可能性があります。
・夫婦がお互いに関係を修復しようという気持ちを失っている
子どもの教育方針が異なり相手への不信感が強くなってコミュニケーションもなくなり、お互いに関係を修復する意欲を失っているケースでは、裁判で離婚が認められる可能性があります。
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2.子どもの教育方針の違いで離婚できないケース
以下のような場合では、子どもの教育方針が違うというだけでは裁判離婚できない可能性が高くなります。
- ・子どもの教育方針で絶えずケンカをしているが、同居していて普通に夫婦として暮らしている
- ・お互いに不信感を持っているが、表面上は夫婦として暮らしている
- ・子どもの教育方針以外の点でお互いに不満はなく、普通に夫婦として暮らしている
- ・相手に不倫や暴力などの問題行動はなく、相手が強硬に離婚を拒絶している
3.子どもの親権者を判断する基準
子どもの教育方針の違いを理由に離婚する場合「親権者」をどちらにするかで対立するケースが非常に多くなっています。親権者は基本的に夫婦で話し合って決めるべきですが、自分たちで決められない場合には家庭裁判所に決めてもらいます。
その際の判断基準は以下の通りです。
- ・これまで主に養育を行ってきた
- ・現在子どもとの関係が良好
- ・離婚後、子どもと長い時間一緒に過ごせるか
- ・別居している場合、子どもと一緒に暮らしている(ただし現状子どもの状態や環境に問題がない場合)
- ・子どもが乳幼児の場合、母親が有利
- ・健康な方が良いが、多少の病気があっても養育が可能なら親権は認められる
- ・経済力がある方が良いが、収入が少なくても子どもと一緒に過ごせるか
- ・フルタイムで働いている方の場合、監護補助者(祖父母など)と同居すると有利になる
- ・離婚後の居住環境は良いか
- ・離婚後、相手との面会交流に積極的か
「子どもの養育方針」は考慮されますが、「高い教育をつけたい」と希望しているからといって、親権が認められるわけではありません。
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4.親権を獲得するためのポイント
4-1.子どもと離れない
子どもの親権を獲得したいのなら、子どもと絶対に離れてはなりません。離婚時に子どもが相手と一緒に暮らしていると、そのまま現状が評価されて相手に親権が認められる可能性が高くなってしまうからです。自分が家を出るときには必ず子どもを連れて行き、相手が家を出るときには連れ去られないように充分注意しましょう。
4-2.子どもの養育環境を整える
離婚後の子どもの養育環境を整えることも大切です。どこに住んでどのような仕事をして、1日のうち、どのくらい子どもと一緒に過ごせるのかなど、具体的な計画を立てましょう。裁判所は「子どもと長い時間一緒に過ごせる親」を評価する傾向があるので、フルタイムの方などは時短制度の利用などにより、子どもと過ごせる時間を作る工夫をしましょう。
4-3.子どもと良好な関係を作る
現在の子どもとの関係性、養育への関わり方も考慮されます。子どもの勉強をみてあげたり、話し相手になったり、休日には遊びにつれて出掛けたりして、子どもと良好な関係を築いていきましょう。
4-4.面会交流は積極的に
離婚後、相手との面会交流を拒絶すると不利になります。子どものためにも面会交流は積極的に実施しましょう。
子どもの教育方針で対立するときには、離婚については合意を得られても親権トラブルが非常に起こりやすいので要注意です。大切なお子様を相手にとられてしまわないよう、お早めに弁護士までご相談ください。
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相手方に有利な条件での示談や和解を要求された場合でも、弁護士に依頼することによって、過去の判例などを踏まえた対等な交渉ができます。
また、問題終結後に弁護士を通して合意書を作成しておけば、和解成立後に相手方から再び慰謝料を請求されたり、不貞行為の内容をSNSに投稿されたりといった事後的なトラブルを未然に防止することも可能になります。
私たちは、調停や裁判の勝ち負けだけではなく、離婚後の新生活も見据えてご相談者様に寄り添い、一緒にゴールに向けて歩みます。
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