コラム
公開 2020.11.18 更新 2023.12.07

配偶者がアルコール依存症!飲酒問題で離婚できる?

離婚_アイキャッチ_204

配偶者がアルコール依存症の場合、夫や妻に重い負担がかかります。ときには「離婚」が頭をよぎるケースもあるでしょう。
アルコール依存症は法律上の離婚原因になるのでしょうか?

オペレーターが弁護士との
ご相談日程を調整いたします。

1.アルコール依存症が家族に与える影響

アルコール依存症とは、生活や健康に悪影響が出ているにもかかわらず飲酒をやめられない状態です。
配偶者がアルコール依存症になってしまったら、以下のような問題により家族にさまざまな負担がかかる可能性があります。

1-1.仕事を辞めてしまう

アルコール依存症になってしまったら、仕事を続けられずに辞めてしまうケースがありえます。
一家の大黒柱である夫が仕事を辞めると、家族全員が生活に困ることにもなりかねません。

1-2.暴言や暴力を振るう

アルコール依存症の方は、飲酒すると俗にいう「人が変わる」場合があります。
ふだんはおとなしいのに、お酒が入ると暴れて物を壊したり、配偶者や子どもへ暴力を振るったり、暴言を吐くなどの問題行動をとるケースもあります。

1-3.健康を損なう

アルコール依存となって多量の飲酒を続けると、肝臓を始めとした臓器への悪影響も考えられます。
もし身体を自由に動かせなくなったり、入院が必要になったりという事態となれば、家族に負担がかかります。

1-4.子どもへの悪影響

親が多量のお酒を飲んでいる姿を見て育つのは、子どもにとって良い環境とはいえません。
お酒を飲んで暴力を振るう場合、子どもに身体的な危険が及ぶ可能性もあります。

オペレーターが弁護士との
ご相談日程を調整いたします。


2.アルコール依存症の診断基準

「アルコールが好き」「たくさんアルコールを飲む」としても、アルコール依存症とは限りません。
アルコール依存症についてはWHOによる診断基準が明らかにされています。
過去1年間において、次の6つの項目のうち3つ以上が同時に1か月以上現れたか繰り返し出現した場合に「アルコール依存症」と判定されます。

2-1.飲酒したいという強い欲望、強迫観念

常日頃から「アルコールを摂取したい」という強い欲望を持っています。
日中もアルコールが頭から離れず仕事を辞めてしまい、家でお酒を飲み続ける方もおられます。

2-2.アルコール摂取量をコントロールできない

自分ではアルコールの摂取量をコントロールできず、飲み過ぎてしまいます。
たとえば「ビール一本だけ」と思っていても、いつしか酩酊状態になるまで飲み続けてしまうなどです。

2-3.禁酒や減酒すると禁断症状が起こる

お酒を断ったり量を減らしたりすると「禁断症状」が発生します。
たとえば発汗したり指先が震えたり不眠状態になったりするので、結局はまたお酒に頼らざるを得なくなってしまうケースもあります。

2-4.アルコールに耐性ができてしまう

長期にわたって多量のアルコールを摂取し続けていると、耐性ができてしまいます。
これまで酔えた量では酔えなくなるのでどんどん摂取量が増えてしまい、状況が悪化していきます。

2-5.飲酒時間が増える、回復に時間がかかる

飲酒する時間がどんどん増えて、酩酊状態から回復するまでに時間がかかるようになります。
常に酔っ払った状態が続き、お酒に代わる楽しみや興味の対象が失われて生活の中心がアルコールになっていきます。

2-6.明らかに有害な結果が起きているにもかかわらず飲酒を続ける

  • ・健康診断で「お酒をやめるように」と言われた
  • ・肝硬変のリスクが高まっている
  • ・アルコールのせいで仕事を辞めてしまった
  • ・アルコールのせいで家族に迷惑をかけている
  • ・アルコールに過剰なお金をつぎ込んでいる

このように、明らかに有害な結果が生じているにもかかわらず断酒できない場合、アルコール依存症の可能性が高いと言えます。

あなたの配偶者にも上記の3つ以上にあてはまる状態が続いていないか、チェックしてみてください。

オペレーターが弁護士との
ご相談日程を調整いたします。


3.アルコール依存症の治療方法

アルコール依存症が進行すると、家族だけで回復させるのは困難でしょう。
もしも配偶者がアルコール依存症になっている可能性があるなら、以下のように対応しましょう。

3-1.保健所や精神保健福祉センターへ相談

誰にも相談できない、とりあえずどうして良いかわからない場合などには、お近くの保健所や精神保健福祉センターへ相談してみましょう。
状況に合わせたアドバイスをしてもらえます。

3-2.専門の医療機関を受診

アルコール依存症の回復に対応している専門の医療機関を受診しましょう。
場合によっては入院治療を行うべきケースもあります。

3-3.自助グループに参加

本人に治療意欲があるなら、自助グループへの参加という選択肢もあります。
同じ苦しみを味わっている人同士で励まし合うことにより、回復に向かいやすくなる可能性があります。

3-4.治療のためにやってはいけないこと

以下のようなことは治療の妨げになるのですべきではないとされます。
本人のためと思っても実際には逆効果となる可能性があります。

  • ・居酒屋のツケを払ってあげる
  • ・飲酒時に暴れて他人に迷惑をかけたなど、トラブルの後始末をする
  • ・二日酔いで会社を休みたいと言ったとき、本人の代わりに連絡してあげる
  • ・酔いつぶれた本人を店などに迎えに行く

オペレーターが弁護士との
ご相談日程を調整いたします。


4.アルコール依存症は離婚原因になる?

配偶者がアルコール依存症の場合、それを理由に離婚できるのでしょうか。

4-1.相手が離婚を承諾すれば離婚できる

協議離婚や調停離婚なら、相手がアルコール依存症でも問題なく離婚できます。
これらの手続きでは、夫婦がお互いに「離婚を了承」すれば離婚が成立するからです。

まずはアルコール依存の相手とよく話し合い、離婚を承諾してもらいましょう。
その上で親権や養育費、財産分与などの離婚条件を取り決めて合意し、離婚届を提出したら離婚できます。

4-2.アルコール依存症は基本的に法律上の離婚原因にならない

相手が協議や調停では離婚を受け入れない場合、裁判で離婚を認めてもらう必要があります。
しかし、そのためには「法律上の離婚原因」が必要となります。
一般的に「配偶者がアルコール依存症」というだけでは法律上の離婚原因として認められないので、訴訟を起こしても離婚できない可能性があります。

4-3.アルコール依存症で裁判離婚できるケース

配偶者がアルコール依存のとき、以下のような状態なら「法律上の離婚原因」が認められて裁判離婚できる可能性があります。

相手から日常的に暴力や暴言の被害を受けている

DVやモラハラの被害が発生しているなら「婚姻関係を継続し難い重大な事由」が認められて裁判離婚できる可能性があります。

長期間の別居

長期間別居が継続している場合、「婚姻関係を継続し難い重大な事由」が認められて裁判離婚できる可能性があります。

オペレーターが弁護士との
ご相談日程を調整いたします。


5.アルコール依存症の配偶者との離婚は弁護士へ相談を

配偶者がアルコール依存症の場合、離婚は慎重に進める必要があります。
そもそも法律上の離婚原因があるかないかを見極めねばなりませんし、証拠収集も進めなければなりません。

離婚を進める流れとして、まずは相手と離婚協議、その後調停となりますが、いずれの段階でも不利にならないためにはプロによる助言や代理が必須です。
ご自身で判断すると離婚することができなかったり、離婚後に後悔してしまったりするリスクも高まります。

当事務所では離婚問題に積極的に取り組んでおり、難しいアルコール依存のケースにおいても状況に応じたアドバイスやサポートをいたします。
お悩みの際にはお早めにご相談下さい。

Authense法律事務所が選ばれる理由

Authense法律事務所では、離婚問題について、豊富な経験と実績を有する弁護士らで構成する離婚専任チームを設けています。
これまでに蓄積した専門的知見を活用しながら、交渉のプロである弁護士が、ご相談者様の代理人として相手との交渉を進めます。
女性弁護士が数多く在籍しており、面談予約時に「弁護士性別」をご希望いただくことも可能です。

弁護士らで構成する離婚専任チーム

離婚問題を弁護士にご依頼いただくことには、さまざまなメリットがあります。
感情的になりがちな相手方との交渉を弁護士に任せることで、精神的なストレスから解放されますし、日常生活への影響も最小限に留められます。
相手方に有利な条件での示談や和解を要求された場合でも、弁護士に依頼することによって、過去の判例などを踏まえた対等な交渉ができます。
また、問題終結後に弁護士を通して合意書を作成しておけば、和解成立後に相手方から再び慰謝料を請求されたり、不貞行為の内容をSNSに投稿されたりといった事後的なトラブルを未然に防止することも可能になります。

私たちは、調停や裁判の勝ち負けだけではなく、離婚後の新生活も見据えてご相談者様に寄り添い、一緒にゴールに向けて歩みます。
どうぞお気軽にご相談ください。

オペレーターが弁護士との
ご相談日程を調整いたします。


記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
京都大学総合人間学部卒業、立教大学大学院法務研究科修了。一般民事(主に離婚事件)に関する解決実績を数多く有する。また、企業法務についても幅広い業務実績を持つ。
<メディア関係者の方>取材等に関するお問い合わせはこちら

オペレーターが弁護士との
ご相談日程を調整いたします。

こんな記事も読まれています

コンテンツ

オペレーターが弁護士との
ご相談日程を調整いたします。