コラム
公開 2020.08.06 更新 2024.09.27

養育費算定表とは?見方や養育費取り決めの注意点を弁護士が解説

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養育費を請求するときには、算定表の見方を正しく知っておく必要があります。
算定表とは、裁判所が作成した養育費相場の基準を示した表です。
ただし算定表は絶対的なものではなく、ケースによって増額されたり減額されたりする可能性もあります。
この記事では養育費の算定表の見方や支払う期間など、必要な知識を解説します。

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養育費とは

養育費とは、子どもと別居している親が子どもの養育のために負担する費用のことです。

離婚すると、子どもはどちらかの親と同居をすることとなり、子どもと同居する親が子どもを監護することとなります。
子どもと同居していない親も、親である以上は子どもの養育に責任があり、別居親は子どもが自立するまで養育費を負担しなければなりません。

支払いは「義務」か?

別居親にとって、養育費の支払いは法的義務です。
親は子どもに対し「扶養義務」を負っているからです。

そして、親の扶養義務は、「生活保持義務」だといわれています。

生活保持義務とは、相手に自分と同レベルの生活ができるようにする義務です。
自分の現在の生活レベルを落としてでも、相手に自分と同レベルの生活ができるよう支えなければならない重い義務といえるでしょう。

離婚時には、養育費について相手ときちんと取り決めをしておきましょう。

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支払い対象者

養育費を支払わなければならないのは、「別居親」です。
ここでは、父親か母親かによる違いは当然ありません。親は、子どもに対して生活保持義務を負うためです。
別居している母親に十分な収入があれば、父親から母親に対し養育費を請求することももちろん可能です。

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支払い期間

現行民法において、成人年齢は18歳ですが、養育費は子が経済的に未成熟であって自立することが期待できない場合に支払われるという性質から、実務上は20歳までと合意されるケースが多いといえるでしょう。

また、実際には大学に進学する子どもも多く、大学などの高等教育機関を卒業するまで養育費を負担すべきケースも多々あります。
養育費の支払い終期については、子どもの進学の意向や状況、親の経済状況に応じて柔軟に話し合って決めましょう。

なお、養育費には、「5年」の時効もあります(調停や審判で決定した場合は10年)。
取り決めた養育費を相手が支払ってくれなくなったら、放置せずに早めに滞納分を請求しましょう。

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金額の相場

養育費の金額については、裁判所が公表している「算定表」という標準的な養育費についての資料があり、これが広く参照されています。

算定表では、基本的に「子供と同居している親と別居している親双方の収入」によって、養育費を算定します。
支払う側の収入が高くなれば養育費の金額は上がり、受け取る側の収入が高くなれば養育費の金額は下がります。

また、子どもが成長すると、食費や教育費、被服費などさまざまな費用がかかります。
そのため、「算定表」では15歳未満と15歳以上で表が分けられており、15歳以上の表の方が養育費の金額は高くなります。

子どもの人数が多い場合、その分多くの費用がかかるため、養育費の金額は上がります。
ただし、子どもが2人になったら単純に2倍になるというわけではなく、専門的な計算方法によって算定されます。

養育費を決める際に考慮した方がよいこと

養育費を決める際には、次の点も考慮したうえで決めることをおすすめします。
考慮すべき事項は次の2点です。

後からの増額や減額は困難であること

養育費についていったん取り決めを行うと、後から増額をしたり減額をしたりすることは困難です。
取り決めた金額の変更をするためには、まず相手と交渉を行い、交渉がまとまらなければ調停や審判などに移行することとなります。

審判において、養育費の増額・減額が認められるためには、原則として、一度取り決めた養育費の金額を変更することが相当といえる事情の変更が必要になります。
たとえば、「相場より金額が低いことを知らずに合意してしまったので、増額したい」という主張や、「相手が面会交流に応じないので養育費を減額したい」などの主張は通らない可能性が高いでしょう。

そのため、養育費を取り決める際には、その金額で合意するかどうか慎重に検討することをおすすめします。

公正証書にしておくこと

養育費を受け取る側は、養育費を公正証書にしておいた方がよいでしょう。

公正証書とは、個人などからの嘱託により、公証人がその権限に基づいて作成する文書のことです。
公証役場へ出向いて所定の手続きを踏むことで、養育費についての合意を公正証書とすることができます。

養育費についての取り決めを公正証書としておくことで、万が一滞納が生じた際に養育費を強制的に取り立てること(強制執行)が、スムーズとなります。
また、強制執行によって給与が差し押さえられると勤務先にトラブルが知られてしまうことから、これを避けるためにそもそも滞納が生じにくくなるという効果も期待できるでしょう。

一方、せっかく養育費について取り決めをしても公正証書としていなければ、強制執行をする前に、調停などを申し立てる必要が生じます。
そのため、養育費について取り決めをする際には、多少費用をかけてでも、取り決めた内容を公正証書にしておくとよいでしょう。

養育費算定表の改定のポイント

養育費を算定表より増額できるケースは?
「算定表」は平成30年度(2018年度)に改定され、一般的には「増額」される傾向となりました。

従来の算定表は、平成15年(2003年)に公表されたものでしたが、その後、消費税増税などの税制の変化や物価の上昇により、生活にお金がかかるようになっています。
それにもかかわらず、算定表による養育費の金額は変わらず、現実に子どもにかかる費用をまかなうのは難しいとの指摘がされていました。

そこで、社会実態に合わせるため、裁判所が算定表を改定したのです。

養育費算定表が該当しないケースもある?

養育費算定表は、すべてのケースであてはまるわけではありません。
たとえば、次の場合に算定表は使えません。

子どもが4人以上いる場合

養育費算定表では、子どもが3人までの事案しかカバーされていません。
4人以上の子どもがいる場合には、算定表をそのまま当てはめることができません。

母親と父親の両方が子どもを育てている場合

養育費算定表では、母親と父親の「どちらか一方」が子どもを育てている前提となっています。
母親と父親がそれぞれ子どもを引き取って育てている場合、算定表を当てはめることができません。

たとえば、長男を父親が引き取り長女を母親が引き取っている場合などが挙げられます。

親の収入が2,000万円(自営業なら1,567万円)を超える場合

養育費算定表では、支払う側の親の収入について2,000万円(自営の場合には1,567万円)が頭打ちとなっています。
そのため、高額所得者の場合にも算定表を用いることができません。

養育費の計算方法

算定表を使えない場合には、養育費を個別に計算しなければなりません。
その際には、両親の基礎収入や生活指数などを用いた複雑な計算が必要です。

また、支払う側の親の収入が2,000万円(自営の場合には1,567万円)を超える場合にもいくつかの考え方があり、一律ではありません。
算定表を当てはめられない場合には個別の対応が必要となるため、迷ったときには弁護士へご相談ください。
Authense法律事務所の弁護士は、法的な解決にとどまらず、依頼者の気持ちの整理や感情に寄り添うことを信条としております。
弁護士への依頼に緊張したり不安を感じている方は、ぜひ一度Authense法律事務所の初回相談をご利用ください。

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養育費を算定表より増額できるケースは?

養育費の算定表は絶対的なものではありません。
状況により、算定表より増額できる場合もあります。

子どもが私学へ進学する場合

算定表では、子どもが一般的な公立の学校へ進学することが前提とされています。
子どもが高額な私立の学校へ進学している場合などには、私立の学費を考慮して増額される可能性があります。

子どもに特別な医療費がかかる場合

子どもに持病や障害などがあって特別に医療費がかかる場合にも、養育費を増額してもらえる可能性があります。

両親が合意した場合

養育費の算定表はあくまで目安であり、従わなければならない義務はありません。
両親が合意すれば算定表よりも高額な金額を定められます。

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養育費を算定表より減額できるケース

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反対に、養育費を算定表より減額できるケースについても解説しましょう。

受け取る側が合意した

養育費算定表は絶対的なものではありません。
養育費を受け取る側がより少ない金額でよいと納得すれば、算定表よりも低い金額を定められます。

いったん取り決めた養育費を減額できる場合

養育費算定表より減額できるわけではありませんが、次のような事情があると、いったん取り決めた額よりも減額される可能性があります。

  • 支払う側が再婚した
  • 支払う側と再婚相手との間に子どもができた
  • 受け取る側が再婚して再婚相手と子どもが養子縁組した
  • 支払う側の収入が減った
  • 受け取る側の収入が増えた

ただし、実際に養育費が減額されるのか、どの程度減額されるのかはケースバイケースです。
迷ったときには自己判断せず、まずは子どもの問題に詳しい弁護士にアドバイスを求めましょう。

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養育費を支払ってくれないときの対処法

相手が養育費を支払ってくれない場合、以下のように対応しましょう。

養育費請求調停を申し立てる

養育費について取り決めをしないまま離婚し、相手と養育費について合意できない場合は、家庭裁判所に養育費請求調停を申し立てましょう。
調停が不成立になったとしても、審判で裁判所が適切な養育費の金額を定めて相手へ支払い命令を出してくれます。

差し押さえをする

養育費について、離婚時に調停等で決めたにもかかわらず、相手が支払いをしない場合や、相手が公正証書を無視する場合などには相手の給料や預貯金を差し押さえて養育費を回収しましょう。

弁護士に相談する

調停や差し押さえなどを自分で行うのはハードルが高いものです。
弁護士に任せるとスムーズに解決できるので、困ったときには弁護士へ相談してみてください。

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養育費は過去に遡って請求することはできる?

養育費は、過去分を遡って請求することはできるのでしょうか。
それぞれ次のとおりです。

取り決めをしたものの滞納をされていたケース

養育費についてきちんと取り決めをしたものの滞納されてしまっていた場合には、滞納分の請求が可能です。
ただし、養育費は原則として5年(裁判や調停で養育費の取り決めをした場合には10年)で時効にかかってしまいますので、これ以前の分を請求することはできません。

また、たとえ時効にはかかっていない場合であっても、養育費を滞納するような相手であれば、過去数年分の養育費をまとめて支払うだけの資力を持っていないことも多く、現実的に取り立てることが困難になるでしょう。

そのため、取り決めをした養育費に滞納が生じたら、できるだけ早期に弁護士へ相談するなど対応することをおすすめします。

養育費の取り決めをしていなかったケース

養育費について取り決めをしないまま離婚をしてしまった場合など、後から養育費を請求したい場合もあるでしょう。
養育費は、離婚後であっても請求することができますので、早期に弁護士へご相談ください。

ただし、請求することができるのは、原則として請求をした時点以後の養育費のみです。
養育費の請求をする以前の養育費についてまで、遡って請求することは困難でしょう。

養育費の問題を弁護士に相談するメリット

弁護士に相談するメリット
養育費について取り決めをしたいときや養育費について問題が生じたときには、弁護士へ相談するとよいでしょう。
養育費の問題を弁護士に相談する主なメリットは、次のとおりです。

適正額の養育費を請求しやすくなる

離婚問題にくわしい弁護士は、そのケースに応じた養育費の適正額を把握しています。
また、相手に丸め込まれてしまう可能性も低いでしょう。

そのため、弁護士へ依頼することで、適正な養育費を相手に請求しやすくなります。

相手と直接交渉しなくて済む

養育費の交渉を相手と直接行うことに、大きなストレスを感じてしまう場合もあるでしょう。
また、相手からDVなどの被害を受けている場合には、養育費の交渉をすることに恐怖を覚える場合もあると思います。

弁護士へ依頼すれば弁護士が交渉を代理してくれるため、自分で相手と交渉をする必要がなくなります。

労力や時間を節約できる

養育費の交渉には、時間や労力がかかります。
また、相手とこれ以上交渉を続けたくないとの思いから、相手の言い値で飲んでしまうリスクも考えられるでしょう。

弁護士へ依頼すれば、自分でかける労力や時間を大きく節約することが可能となります。

難しい裁判手続きを任せられる

養育費の交渉がまとまらない場合には、家庭裁判所での調停や裁判などに舞台が移ることとなります。
しかし、裁判所の手続きは複雑であり、慣れていない人が行うことは容易ではないでしょう。
また、調停などに臨む際にもどのように進行するのか、何を主張すべきなのかなどが分からず、不利となってしまうおそれがあります。

弁護士へ依頼すれば裁判手続きを任せることができるほか、調停に同席などもしてもらえるため、安心です。

滞納時の対応がスムーズとなる

弁護士は、後のトラブルも見据えた対応を行います。

そのため、弁護士へ依頼して養育費の取り決めをした場合には、仮に滞納が生じたとしても、対応がスムーズとなるでしょう。

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まとめ

養育費の相場を知りたいときは、「養育費算定表」が参考になります。
算定表はいくつかに分かれているので、自分たちの状況に合ったものを選んで参照する必要があります。
ただし養育費算定表があてはまらないケースもあるので、そういった個別計算が必要な場合には弁護士へご相談ください。
また養育費を標準的な金額より増減額できる可能性もあります。
弁護士に養育費についての手続きを依頼した場合、適正な金額を決めやすくなる、労力やストレスが軽減される、難しい裁判手続きを任せられるなど、さまざまなメリットがあります。
養育費について疑問や不安がある場合、相手と揉めてしまった場合などには、子どもの問題に積極的に取り組んでいる弁護士へ相談してみてください。

Authense法律事務所には養育費や離婚問題にくわしい弁護士が多数在籍しており、日々問題の解決にあたっております。
離婚に関するご相談は原則として初回無料にてお受けしておりますので、養育費や離婚についてお困りの際には、ぜひAuthense法律事務所までご相談ください。

Authense法律事務所が選ばれる理由

Authense法律事務所では、離婚問題について、豊富な経験と実績を有する弁護士らで構成する離婚専任チームを設けています。
これまでに蓄積した専門的知見を活用しながら、交渉のプロである弁護士が、ご相談者様の代理人として相手との交渉を進めます。
女性弁護士が数多く在籍しており、面談予約時に「弁護士性別」をご希望いただくことも可能です。

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離婚問題を弁護士にご依頼いただくことには、さまざまなメリットがあります。
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私たちは、調停や裁判の勝ち負けだけではなく、離婚後の新生活も見据えてご相談者様に寄り添い、一緒にゴールに向けて歩みます。
どうぞお気軽にご相談ください。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
早稲田大学法学部卒業(3年次卒業)、東京大学大学院法学政治学研究科修了。企業法務から、離婚、相続問題を中心とした一般民事事件、刑事事件など幅広く取り扱う。
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