監護権について
離婚の際、子どもがいる場合は、「どちらが引き取るか」「親権はどちらが取るか」という話が出てくると思います。
監護権とは
実際に子どもを引き取って身の回りの世話をして一緒に暮らす権利です。親権の中には、監護権が含まれていますが、親権と監護権を別々に定めることも可能です。しかし、監護権は親権の一部なので、親権者と監護権者は一致した方が、子どもの福祉に資すると一般に考えられています。
監護権者を決める手続き
まずは両親の話し合いにより監護権者を決めます。それで決まらなかった場合は家庭裁判所への調停ないし審判の申立てによって、裁判所を介して監護権者を決めることになります。
監護権者の指定の判断基準
実際には、以下の事情以外にも、過去の審判、裁判例の蓄積から得られた判断基準や様々な要素を比較衡量して、父母のいずれかがふさわしいかが決定されます。
①現状の尊重
子どもが幼稚園や小学校等に通っている場合には、現状を変えると転園や転校しなければならなくなることがあります。それでは環境が変わってしまい、子どもに不利益であるため、子どもの現状を維持できるのはどちらかということが1つの判断基準になります。
②子の意思の尊重
子どもが15歳以上の場合は、家庭裁判所は子の陳述を聴かなければならないことが、人事訴訟法32条4項及び家事事件手続152条2項で定められているため、子の意思も1つの判断基準になります。
③兄弟の不分離
子どもは、両親とは別に、兄弟の中で揉まれて人格形成するという要素が大きいので、できる限り親権者指定にあたって兄弟を分けないことが判断基準になります。
④経済的能力
経済的能力が高ことは、子の親権者・監護権者として望ましい要素です。ただし、相手方から適正な婚姻費用や養育費を支払ってもらえば反対の当事者も一定の経済的能力を確保できるため、必ずしも経済的能力が高いからといって親権者・監護権者になれるわけではありません。